年明け、新宿から夜行バスへ乗り込む。
金沢21美術館はずっと前から行きたい場所だった。
現地に到着すると、東京と比べると信じられないくらい寒く、
雪が当たり前のように降っている。
あいにくの雪だと思いきや、
美術館を見るとその気持ちが一変する。
白とガラスの建築が、雪の中でこれほど美しく佇むことを初めて知った。
それはまさに雪のために作られた建築のような感じさえ与えているのだ。

その足で兼六園や情緒の残る茶屋街を歩く。
こちらも雪がその景色を見事に演出している。
翌日は友人に車を出してもらい、黒部渓谷の宇奈月温泉へ。
実はここに修士論文のテーマである、エンリック・ミラージェスの建築があるのだ。
山深き黒部渓谷。建築は見事に雪に埋もれていた。
雪国での生活を知らない自分は建築を見ることを諦めてしまったが、
さすが雪国育ちの友人。一歩一歩雪を踏みつけて道を作るのだ。
雪国という場所で長靴がどれほど重宝するかを知った。
帰りがけに、雄大な黒部渓谷を望む露天風呂へ。
今年のテーマは「平常心」
今年は学生を卒業し、自分を語る立場は無くなる。
一級建築士も必ず受からなければならないし、
半ば浪人生みたいな生活になる。
大学受験で宅浪していた日々を思いだす。
いかに自分の生活や気持ちを維持できるか。
必要なのは、ゆるぎない平常心。
そんなことを思いながら、論文を仕上げる日常へ。
良い一年が始まる気がする。

―taku―
車内の中刷り広告。
“年賀状は12/25までに投函しましょう”
という様な、毎年見る広告。
その紙面に
「一月一日の
あなたの、心の中にいたいから。」
というキャッチコピー。思わずぐっとくる。
一年の始まりに手紙が届くというのは、
とても美しい習慣なんだと改めて気づく。
―taku―
□読んだ本
『風の歌を聴け』 村上 春樹
『青春ピカソ』 岡本 太郎
『エンジェルズエッグ』 村山 由佳
『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』江國 香織
『場所の現象学』 エドワード・レルフ
『姑獲鳥の夏』 京極 夏彦
『星の王子様』 サン・テグジュペリ
□観た映画
『サマーウォーズ』
『THIS IS IT』
―taku―
□読んだ本
『レキシントンの幽霊』 村上春樹
『遠い太鼓』 村上春樹
『ヴィヨンの妻』 太宰治
『坊ちゃん』 夏目漱石
『友情』 武者小路実篤
『アントニオ・ガウディ』 鳥居徳敏
『論文の書き方』 清水幾多郎
『建築における多様性と対立性』 ロバート・ヴェンチューリ
『時間と自由』 ベルクソン
『ベルクソン』 篠原資明
□観た映画
『SCENT OF A WOMAN』
『おくりびと』
最近は毎日バイトの日々。
毎年恒例クリスマスイルミネーションの制作。
うーむ論文思考停止中。
―taku―
最近、素敵そうなcafeを見つけてはぶらぶらしに行くというのが日常の一コマになっている。
カフェで時間を過ごすというのは、スペインで生活した時に染み付いたものだ。
誰かと話したり、一人で本を読んだり、眺めているだけで居心地の良い場所。
そんな最近行った下町のカフェを紹介。
□金魚坂/本郷
東大赤門のすぐ近くにある、創業350年という金魚屋さん。
店舗の一部を改装してcafeにもなっている。
店内は吹き抜けの空間と、屋根裏部屋のような2階から成っていて、
どちらも印象的な空間。
オススメは黒カレーと中国茶。
外のガレージにはいけすがあって、金魚釣りもできる。
意外とにぎわう金魚釣り。人々も楽しそう。

【店内のガラスに施された、かわいらしい金魚のレリーフ】
□Spice cafe/押上
小さな町並みにひっそりと佇む緑に覆われた建物。
路地のような入り口を進むと、ジブリにでてきそうなお店が待っている。
お店の名前の通り、スパイスを効かせたカレーが美味しい。
こんなに優しい味のするカレーを食べたのは何時振りだろう。
お店は昼も夜も予約でいっぱいとのこと。
ギャラリーも併設。

【路地のようなエントランス】
□天真庵/押上
Spice cafeから30秒も離れない所にあるカフェ。
店内はレトロで落ち着いた雰囲気で、何時間でも居られそう。
このお店が面白いのはお蕎麦が食べられるところ。
もちろん美味しいコーヒーも飲める。

【渋みを感じる看板と暖簾】
どこかに自分のお気に入りの場所を見つけると、その街がぐっと好きになる。
―taku―
スペインで過ごした時間は本当にあっという間で、ブログを更新する時間もあまり無かった。
今振り返る、スペインでの日々。
素敵な断片たちを、色褪せない内に書いておこうと思う。
インターン最後の夜。
事務所スタッフの一人に、カタラン人(スペイン・カタルーニャ出身)のサルバドールがいる。
年齢は僕と同じ25歳。彼の村で今夜ジャズフェスティバルがあり、一緒に行かないかと言う。彼の友人が出演するらしい。
JAZZ。その言葉を聞いただけで、僕は居てもたってもいられなくなる性分なのだ。迷わず行くことにする。
サルバドールの車で事務所のあるオロトから北に約1時間の所にある、彼の故郷へと向かう。
車に乗り込んだのは、サルバドールと、その彼女、インターン生のドイツ人のジャニン、そして僕の4人。
サルバドールの彼女(名前はなんだったけ)はスペイン人にしては珍しく落ち着いた性格の持ち主だ。サルバドールも同じく落ち着いた人柄。スペインでも地域によって人柄というのがあり、バルセロナを含むカタルーニャ地方の人々は真面目で落ち着いた性格らしい。日本人にとっては、彼らみたいな落ち着いた性格の人は一緒にいて過ごしやすい。
もちろん、陽気なスペイン人もとても素敵なのだけれど。
行った先に待っていた、Peralada(ペララダ)の村。
おそらくペララダは、僕がこれまで訪れた村の中で一番美しい村だった。
そしてそれは、スペインで過ごした中で、一番美しい夜だった。


ペララダは人口1500人ほどのとても小さな村で、中世の城郭や街並みがそのまま残る場所だ。
バスもほとんど走ってない村には、観光客だってほとんどいない。そして、それがまた良い。
村に着くと、サルバドールのお母さんが僕たちを温かく迎えてくれ、ビールをごちそうしてくれる。
フェスティバルと言っても、公園のような広場に簡単な客席が80席ほど設えられたもので、“村のお祭り”というイメージの方が相応しい。
お客さんは数十人ほど。ステージはもう始まっている。

僕が驚いたのは、小さな村の祭りにも関わらず、演奏しているジャズバンドはとびきりに上手だったということだ。
メインのボーカルは紫のドレスを着た若いスペイン人の女の子で、英語でシャンソンを歌っている。
そしてその姿がとてもかわいらしい。スペイン語で言うならば、“muy guapa”(=so cute)というとこだろう。
“I love Paris every morning”
と、軽快な伴奏に合わせて響く歌声。
肌に触れる7月の夜風はとても気持ち良く、客席のお客さんも皆幸せそうに聞いている。
小さな村の小さなお祭り。
お客さんがたくさん来るようなものじゃなくても、そこにはちゃんと楽しんでいる人々がいて、満ち足りた時間がある。
日本の地方を思うと、とてもさびれている哀しい現状がある。
けれども、スペインでは地方の方が人々が元気で、生活が豊かなのだ。
ジャズライブもそろそろ終盤。
お酒もほろ良く回ってきて僕たちは、そのまま夜の海へと向かった。
―taku―
『悼む人』 天童荒太
『ブルータワー』 石田衣良
『冬の紳士』 大沸次郎
『人間失格』 太宰治
『堕落論』 坂口安吾
『カルロ・スカルパ』 A.F.マルチャノ

最近、公園で読書をするというのが自分の中で大切な時間になっている。
読書はもっぱらカフェが多かったが、何気なく近くの公園に足を伸ばそうと思った。
近所にある、普通の公園。
昼下がりには子供たちや親子が楽しそうに時間を過ごしている。
当たり前の風景の中で、読書をするというような、ありふれたことをする。
実はこういうことが、凄く大切なことなんだと思う。
スペインに行って何を学んできたか?と自分を振り返る。
もちろん建築も学んだ。文化も学んだ。スペイン語もちょっと話せるようになった。
でも、一番大きなことは、“当たり前の豊かさ”を学んできたことだと思う。
住んでる町が美しい。
カフェのコーヒーが美味しい。
定時には仕事を上がり、プライベートを大切にする。
何はなくとも、そこには透き通る太陽があり、海がある。
美味しいお酒があり、供に語れる仲間がいる。
それは、月並みな言葉で言えば“当たり前の幸せ”ということなのだ。
―taku―
スペイン滞在中に最も感銘を受けた建築、
Enric Miralles設計/イグアラダの墓地。
荒涼としたランドスケープとの見事な調和。
複雑な平面から生み出されるシークエンス。
時間の移ろいと共に表情を変える、光の彫刻。
この建築は自分の修士論文のテーマでもある。
この地に眠る、今は亡きミラージェスの設計手法を読み解く。



写真が伝えれるものがある。
写真が切り取れないものがある。
イグアラダの墓地、これは間違いなく後者だ。
―taku―
先月の中旬に帰国してから、新潟トリエンナーレの制作、神奈川での家具の制作と、息つく暇も無い生活にいる。
まだ埋めることができない、スペインと日本との“時差”
時間的な時差ではなく、心理的な時差。
やりたいことはたくさんある。
けれども、それらは思考の中に留まったままで、行動が伴わない。
与えられ、吸収し続けた情況から、
今度はそれらを還元し、発散していく。
時間を、自分の側に引き寄せること。
―taku―
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