AiRE DESIGN STUDIO

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新宿的浦島太郎と、鴨川のウサギ追いしかの山


2月後半の約2週間、新宿にある先生の事務所で毎日のように作業。
先生の作品集が出版されるとのことで、その編集委員として。

最後の3日間は新宿の地から一歩も出ていない。

手帳に書いている毎日の日記も

「事務所バイト、事務所泊、夜銭湯」と同じ内容が3日間続く。




新宿の夜。銭湯を求めて新宿の街の街を歩くと、いろいろなものに気付く。



新宿2丁目の濃密な雰囲気。

古い住宅街と、遠くに見える高層ビル。コントラスト。

ふとした拍子に現れる、心地よい路地や階段。昔ながらの銭湯。



新宿には、何でも受け入れてしまう寛容さがある。



あまりにも一つのことに専念しすぎたために、気付いたらもう3月。
気持ちの上ではまだ2月20ぐらいで、世間との時間のズレに、あせる。





そんな無重力状態の心と身体をリセットするために、鴨川の千枚田を見に行く。
今やっているプロジェクトの敷地調査のためだ。



千葉の中心市街地から安房鴨川まで電車で二時間、駅から一時間に一本のバスを待つ。

4時間の旅路の果てに辿りついた先に待っていた、大山千枚田。関東近郊で唯一、棚田が見れる場所だ。







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雄大な自然と、傾斜地という厳しい環境に稲作を施した人々の軌跡。

この時期は寒々とした風景だが、
夏には緑々とした稲が、秋には黄金色の穂が、雪が降れば純白の景色が広がる。


千葉に残る里山。
雨上がりの冬の寒風でさえ、どこか優しい。

棚田の畦道を歩いていると、「うさぎ追いしかの山~」とついつい口ずさんでしまう。



そんな場所だから、帰るバスは一時間以上待たなければない。

すでに日は傾き始めている。


昼も食べていなかったし、行き際に道を尋ねた地元の小さな商店を訪ねる。


売り物のカップラーメンに湯を入れてもらい、おばちゃんの好意でバスまでの時間を店内で過ごす。


とっても気さくなおばちゃんで、ふらふらとやってきた自分に笑顔で接してくれる。

年齢は60歳ぐらいだろうか。店は自分の祖父の頃からやっているという。


そんなおばちゃんから、

市内の大型スーパーができてから売れ行きが落ちたこと、
若い人が都会に出て行って、いずれ田を守る人もいなくなってしまうこと、を聞く。


その事実はもちろん予想していたものの、地元の人から語られると、改めてのその重さを感じる。



なんやかんやと身の上話を話し、自分が

「今は自由にふらふらしてますけど、このままでは将来どうなることやら。笑」

と冗談交じりに言うと


「男は30からよ。今は好きなことしなさい。」

と笑顔で語ってくれた。



本で読むどんな著名人の言葉より、今目の前で語られる一つの人生を生きてきた人の言葉は、心に強く響く。




帰り際に「またおいで」と言ってくれたおばちゃん。そんな日常の一コマが、心を暖める。






―taku―
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by goro0124 | 2009-03-02 12:20 | etc