AiRE DESIGN STUDIO

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震災後を思う

日本に帰国して1週間がたち、そして震災から1ヵ月を迎えた。

スペインにいて震災の事を知ってから、何もできない自分に大きなもどかしさを感じていた。一国も早く帰国したかった。
しかし帰国して驚いたのは、東京でのあまりに平穏な日常だった。

もちろん未だに余震も続いているし、ニュースでは連日原発の事が取り上げられていて、今だ予断を許さない状況が続いている。しかし、今ここに流れる時間は震災前の時間と同じような感じがするのだ。

それはあたかも、被災地における状況と原発での未だ続く沈静活動、そしてそれらの地域以外での時間が、まるでパラレルに流れているような印象を受けるのだ。

東京にいる人々だって被災地における人々の生活の苦しさや悲しみを知り、想像することはできる。全国各地で、そして世界中の支援を受けながら被災地復興に向けた取り組みが行われている。
しかし、僕たちの目の前には日常(生活)という当たり前の営みがあり、その枠は何よりも大きな枠として存在しているのだ。


僕はこれから現地のボランティア活動に参加してこようと思う。
短期的な活動ではなく、長期的、継続的な活動を。
そして、どうしても感じてしまうパラレルな時間を繋ぐ様な、地域間の複合的な取り組みに向けて。少しでも、できることを。


―TAKU―
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by goro0124 | 2011-04-14 02:41 | etc

帰国 / la Vida en RCR

しばらくぶりのブログ。

スペインで持参したPCにラティファラ(スペインの果実酒)をこぼしてからパソコンが壊れ、ブログUpが億劫になっていた。
iPhoneからつぶやくTwitterのほうが簡単だったこともある。


帰国して数日。一つの区切りとしてブログを綴っておこうと思う。


今回のスペイン滞在は3ヶ月。
向こうの事務所での研修2ヶ月、旅行1ヵ月というところ。

一年半前にスペインに滞在した時も同じような予定で、トータルで半年間スペインにいた事になる。

前回、今回とお世話になったRCR arquitectes 
研修を通じて学んだ彼らの建築に対するスタンスは、僕がこれから建築を考える上での大きな影響を与えた。それは以下のようなことたちだ。



□地域に根付いた建築

RCRは3人のパートナーからなるユニットで、事務所があるOlót(オロット)の町の出身。
オロットはバルセロナ郊外にあるとても小さな町で、電車が通ってないぐらい小さな町。
いわゆる、田舎町。
町の周りには豊かな山々が取り囲み、人々は温かく、とても平和な町だ。

そんなオロットにはRCRの建築が20以上あり、彼らは地域をベースとしたタウンアーキテクトと言える。
彼らの建築は地元に根付きながらも世界的にも評価を受け、国内外で大きなプロジェクトが動いている。

そんな彼らの建築はどこか優しく、オロットの空気感を含んでいる。もちろん、作品によっての違いはある。


彼らの建築の中でとりわけ好きな作品は、自然の中にひっそりと佇むような建築たちだ。


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【RCRの建築、 la Bodega(酒倉)のエントランス】

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【地下に埋まった内部空間】


良い建築を生むための条件の一つとして、良いコンテクスト/場所がある。
また逆に、良い建築はその建築が建つ場所性を引き出す。


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自宅から事務所まで毎日歩いた川沿いの写真。
そこに漂う空気感は、彼らの建築の空間が持つ空気感と通底しているのだ。



□徹底的なこだわり

これには幾度と苦労したことか。

研修で行った仕事はビジュアル作りや図面修正など。
ボスはビジュアル、図面、どれをとっても徹底的に拘りぬく。

線の太さ、色味、余白のとり方さえも、すべてが完璧で、美しい。
もちろんその分、スタッフの仕事は増えるし時間もかかる。

それは非常に感覚的な観念だが、その美しい=良いと思える感覚は、誰もが共感できるものなのだ。
だからこそ彼らはコンペで勝てるし、その仕事に対する拘りこそがクライアントの信頼を生むことに繋がる。

そしてその徹底した拘りの意識は、スタッフ全員が持っている。



□事務所としての体力

RCRは事務所としての体力があると感じた。
それは組織としての。
スタッフはみな有能であり、持久力がある。
スタッフの下には常に世界中からインターン生が集まり、事務所での仕事を支えている。

RCRではあるコンペが進んでいたが、途中段階であるにも関わらず、スタッフミーティングに出てくる図面の美しさに度肝を抜かれた。それはその計画を始めて見る自分にでさえ、「あぁ、このコンペはきっと勝つ」と思えるぐらいのものだった。近年のRCRのコンペの勝率が8割近いという話を聞いたが、それには理由があるのだと知った。


□光/闇、人間/空間

RCRの作る空間には、常に光と闇がある。
他のスペインの建築家と少し違うのは、闇の感覚が強いことだ。

上に挙げたBodegaは特にそうだが、建築内部に開口部が非常に少ない。
それは酒倉という機能もあってのことだが、その空間に身を置いたとき、
その時間が止まったような、悠久とも思えるような居心地の良さがある。
それは空間に、身体が溶け込んで行くような体験。

そしてまた事務所が暗い。

日中は光が差し込むからとても明るいが、冬の夕方過ぎには間接照明しかつけないものだから、空間は闇に包まれる。

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しかし、そんな暗闇の一瞬に、RCRの建築の精神を感じることができる。



□生活の豊かさ

スペインを色々と旅して感じたのは、まず町が豊かであるということ。
それはとりわけ田舎町で感じたことだ。
町がいつまでもここに住みたいと思えるような雰囲気があり、
人々が生き生きとしているという豊かさ。

スペインは田舎町の方が豊かだけれども、日本は逆に地方が疲弊している。
スペインのような町の豊かさを、人々の温かさを、そこに培われる建築を、僕は作りたいと思うのだ。



□日本へ

研修はさらに長い期間続けたかったし、ボスにももう少し残らないかと言ってもらえた。
しかしVISAの問題もあったし、
何より日本での大きな震災があり、日本に戻らなくてはと居ても立ってもいられなくなった。

そんな経緯で帰ってきた訳だが、僕が大好きなスペインに戻るのは、遠い未来じゃない。

続きはまた次のブログに書きたいと思う。



―TAKU―
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by goro0124 | 2011-04-11 02:55 | etc